尼崎の相続税理士が教える!「医業承継のチャンスが拡大。医業継続に係る納税猶予制度の3年延長と要件緩和のポイント」

こんにちは、相続税理士の香川晋平です。

令和8年度税制改正大綱において、医療法人の経営者にとって極めて重要なニュースが発表されました。
地域医療の安定的な継続を支援するための「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度」の適用期限が、3年間延長されることになったのです。
これにより、後継者難や税負担に悩む医療法人にとって、円滑な事業承継に向けた「準備期間」が大きく拡大しました。
今回は、これについて解説しますね。

1.  制度の背景:持分なし医療法人への移行を促進

現在も多くの医療法人が、出資者が財産権を持つ「持分あり医療法人」として運営されています。
しかし、この形態では出資者の死亡時に高額な相続税が課されたり、持分の払い戻し請求によって法人の資金が流出したりする経営リスクを孕んでいます。
これを解決するために設けられたのが、「認定医療法人」制度です。 厚生労働大臣の認定を受け、持分を放棄して「持分なし医療法人」へと移行することを条件に、移行過程で発生する相続税や贈与税の納税を猶予・免除する仕組みです。

2.  改正のポイント:2029年末までの期間延長

今回の改正により、この特例措置の適用期限は令和11年(2029年)12月31日まで延長されました。

対象となる主な税額は以下の通りです:
• 出資者の持分を相続した際に後継者に課される相続税
• 持分の放棄によって他の出資者の持分が増加したとみなされる「みなし贈与税」
• 持分放棄により、法人自体が経済的利益を受けたとして課される贈与税

本来であれば多額の現金納付が必要となるこれらの税金が、認定を受けることで猶予・免除されます。
今回の延長により、慎重な合意形成が必要な親族間や外部承継の話し合いに、より時間を割けるようになりました。

3.  注目すべき要件緩和:特定外国人患者への対応

今回の改正でもう一つ注目すべきは、認定要件の合理化です。
従来の認定要件の一つに、「自費患者(自由診療)に対しても、社会保険診療報酬と同じ基準で請求すること」という項目がありました。
しかし、インバウンドの増加に伴い、公的保険を持たない訪日外国人等の診療(特定外国人患者)においては、医療機関側に通訳や事務コストなどの重い負担が生じている実態がありました。
これを受け、新ルールでは、「特定外国人患者」に対する診療報酬に限り、社会保険診療報酬の3倍までの金額であれば、認定要件を維持したまま請求できるよう緩和されました。 これにより、地域医療を支えつつ国際的な診療需要にも応える法人が、本制度を活用しやすくなっています。

4.  経営者が今すべきこと

この制度は、単なる節税策ではなく、法人の永続性を担保するための経営戦略そのものです。
ただし、認定を受けるには「法人の運営が適正であること」や「医業収入が費用の150%以内であること」など、厳格な運営要件を6年間にわたって満たし続ける必要があります。
3年の猶予ができた今こそ、自社の定款や出資状況を再確認し、専門家と共に「持分なし」への移行シミュレーションを開始する絶好の機会です。 地域医療の灯を次世代に繋ぐためにも、この拡大されたチャンスを最大限に活用しましょう。

いかがでしたでしょうか?
後継者難や税負担に悩む医療法人の方は、専門家にご相談されることをオススメします。
もちろん、私どもでも、しっかりアドバイスさせて頂きます。
尼崎、西宮、伊丹、宝塚、大阪市西淀川区などの阪神間で相続にお困りの方は、お気軽にご相談下さいませ。

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