相続財産の名義変更
遺産分割協議にて相続財産をどう分配するかが決まった後は、それぞれの相続財産の名義を相続人へ変更していく手続きが必要です。
名義変更に期限は設けられていませんが、名義が被相続人のままであると、相続した財産を売却や譲渡ができません。
また、他の相続人より「まだ名義が変わっていないから、この財産は再検討したい」などと言われたら、それこそトラブルの原因になります。
したがって、遺産分割協議が終わったら、遺産分割協議書にしたがって迅速に名義を変更することをおすすめします。
名義変更は財産の種類によって変わります。
くわしくは下記よりご確認ください。
預貯金の名義変更
被相続人の名義である預貯金は、遺産分割協議がまとまっていない時点で一部の相続人が預金を勝手に引き出すことが禁止されています。凍結された預貯金の払い戻しをできるようにするためには、遺産分割協議書を作成する必要があります。
被相続人の名義である預貯金は、遺産分割協議がまとまっていない時点で一部の相続人が預金を勝手に引き出すことが禁止されています。
このため、被相続人の死亡を銀行などの金融機関が確認すると、預金の支払いが凍結されます。
凍結された預貯金の払い戻しをできるようにするためには、遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割をどのように済ませたかにより名義変更手続きが異なりますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
預貯金の名義変更をする方法
遺産分割協議に基づく場合
以下の書類を金融機関に提出することになります。金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接問い合わせて確認する必要があります。
●金融機関所定の払い戻し請求書
●相続人全員の印鑑証明書
●被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
●各相続人の現在の戸籍謄本
●被相続人の預金通帳と届出印
●遺産分割協議書(相続人全員が実印で押印)
調停・審判に基づく場合
以下の書類を金融機関に提出することになります。金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接問い合わせて確認する必要があります。
●家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本(家庭裁判所で発行を受けることができます)
●預金を相続した人の戸籍謄本と印鑑証明書
●被相続人の預金通帳と届出印
遺言書に基づく場合
以下の書類を金融機関に提出することになります。金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接問い合わせて確認する必要があります。
●遺言書
●被相続人の除籍謄本(最後の本籍の市区町村役場で取得できます)
●遺言によって財産をもらう人の印鑑証明書
●被相続人の預金通帳と届出印
不動産の名義変更(相続登記)
相続が発生した場合、被相続人(亡くなった方)名義の不動産登記簿を相続人(受け継ぐ方)名義に変える手続きをしなくてはなりません。不動産名義を変更しないと、後々トラブルになることがありますので、できるだけ速やかに行ってください。
相続が発生した場合、被相続人(亡くなった方)名義の不動産登記簿を相続人(受け継ぐ方)名義に変える手続きをしなくてはなりません。
法務局で登記簿を閲覧すれば、その不動産が誰の所有になっているのか、担保などが付いているのかどうかを誰でも確認することができます。
不動産名義を変更しないと、後々トラブルになることがありますので、できるだけ速やかに行ってください。
不動産の名義変更手続きの流れ
1.登記に必要な書類の収集
登記に必要な書類は、どのように遺産分割の協議が行われたかによって異なります。
①法定相続人が一人の場合または法定相続分で相続をする場合
●被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
●法定相続人の戸籍謄本
●法定相続人の住民票
●相続する不動産の固定資産税評価証明書
②遺産分割協議で決めた割合で相続をする場合
●被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
●法定相続人の戸籍謄本
●法定相続人の住民票
●相続する不動産の固定資産税評価証明書
●法定相続人の印鑑証明書
●遺産分割協議書
2.申請書の作成
登記の申請書を作成する場合の詳細は、状況によって複雑に変化します。
司法書士に依頼する方が、正確かつ速やかに実行できるでしょう。
当事務所にご相談いただければ、提携司法書士のご紹介も可能です。
3.登記の申請
登記の申請書に集めた書類をまとめ、相続する不動産を管轄する法務局に登記申請をします。
提出した書類に不備がなければ1週間程で登記が完了し、不動産の名義が変更されたことになります。
4.登記の費用について
登記を申請する際には税金(登録免許税)の納付が必要になります。
その際必要になる税金(登録免許税)は固定資産税評価証明書に記載されている不動産の価格に1000分の4を乗じた額となります。
相続不動産の売却
相続に関する不動産のご相談で最も多いのが、相続した土地・建物を実際には使わないので売却したいというものです。「より良い売却の方法」「より良いタイミング」「より良い特例の使い方」など、専門家に相談して最低限の情報を把握した上で、実際の売却に進みましょう。
相続に関する不動産のご相談で最も多いのが、相続した土地・建物を実際には使わないので売却したいというものです。
不動産の売却は人生で何度も経験することではないため、不動産会社に比べると相続人の経験値が圧倒的に少なく、実際よりも不利ないのが現実です。
「より良い売却の方法」「より良いタイミング」「より良い特例の使い方」など、専門家に相談して最低限の情報を把握した上で、実際の売却に進みましょう。
だれが相続するか決まっていない不動産を売却する場合
相続財産を未分割のまま売却する場合には、各相続人が法定相続分に基づいて共同で相続し、売却したものと考えられます。
この割合に基づいて売却代金等を按分し、それぞれが税金を計算して申告することになります。
実際にその不動産に居住している人は相続税申告時に居住用の特例が使えます。
なお、売却してしまうと法定相続分でそれぞれが相続することを同意したと判断されます。
後になって分割協議を行って法定相続分と異なる割合で代金を分割することになっても、原則的には認められませんのでご注意ください。
相続してすぐ売却するときの注意点
小規模宅地の特例は、土地の評価額を最大で80%減額するもので、実際にこの特例を使ったおかげで相続税がゼロになったというケースは少なくありません。
配偶者がその土地を相続する場合は、いつ売却しても80%の減額ができることになっています。
しかし、その他の相続人によって相続税の申告期限(亡くなった日から10ヶ月後)までにその土地を売却してしまうと、80%の減額とならずに、50%の減額になってしまうことがあります。
たとえ減額できると言っても、30%の差は大きいので注意して進めなければなりません。
小規模宅地の特例が適用されるには、その他にも様々な要件を満たす必要がありますので、必ず専門家に確認してください。
優遇税制・取得費加算特例
「相続税納税のための土地売却については譲渡税を安くする」という趣旨の特例があります。
土地に対する相続税を1億円納税していれば、一定の期日までに土地を売却することで、土地譲渡益1億円までは非課税になります。
ちなみに、相続税は現金で無事納税が完了していても、相続税申告から3年間はこの特例が適用でき、非課税枠が適用できます。
例えば、平成18年4月1日に相続開始(亡くなった)の場合には、平成21年4月1日が期限日になります。逆に、平成21年5月に御当主が亡くなった家では、平成24年5月までが最大の売却チャンスになります。
また、相続税を物納した場合でも使えます(全額ではありません)。
死亡保険金(生命保険金)の受け取り
被相続人が生命保険に加入していた場合は「死亡保険金の受取人に指定されている者」が保険会社に保険金を請求することとなります。生命保険金については、その受取人がどのように指定されているのかで分けて考える必要があります。
被相続人が生命保険に加入していた場合は「死亡保険金の受取人に指定されている者」が保険会社に保険金を請求することとなります。
生命保険金については、その受取人がどのように指定されているのかで分けて考える必要があります。
生命保険の受取人が指定されている死亡保険金は相続財産には含まれませんので、原則として、全額が受取人の財産となります。
具体的には、以下のケースを参考にしてください。
受取人と相続財産の関係
(1)特定の者が保険金の受取人として指定されているケース
保険金は自分の権利として取得するので相続財産には含まれません。
(2)保険金の受取人が「相続人」と指定されているケース
このケースも被相続人が亡くなられた時点の相続人を指定しているのであって、その相続人は相続によってではなく、保険契約によって保険金を受け取ることになります。
したがって、このケースでも、生命保険金は相続財産には含まれません。
ただし、受取人を相続人とした場合には、原則として相続人が保険金を受け取る割合を相続分の割合とする指定も含まれますので、各相続人は相続分の割合によって保険金を取得することとされています。
(3)保険金の受取人が亡くなられた方自身とされているケース
このケースでは保険金は相続財産となります。
生命保険金を請求する際に必要な書類
●保険金請求書(保険会社所定の物)
●保険証券・死亡診断書(死体検案書)
●被相続人の住民票及び戸籍謄本
●保険金受取人の印鑑証明書
●災害事故証明書、交通事故証明書(死亡原因が災害・事故による場合) など
※必要書類は各保険会社によって異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
死亡保険金は請求モレがないように手続き面をしっかり把握するとともに、受取人と相続財産の関係もしっかり押させておきたいところです。
死亡保険金を受け取る際の留意点は、私どもでもしっかりアドバイスさせて頂きます。
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